« 幻のスモークサーモンと大和ハウス | トップページ | 帰宅 »

2006年12月13日 (水)

波の記憶 

石垣島は北海道に比べると日中の気温は20度以上も高く、僕にとってはまだ夏である。昨日は小一時間ほど米原海岸でシュノーケルを楽しんできた。

ドキュメンタリー映画「波の記憶 舟大工 新城康弘の物語」が石垣島で上映された。島の皆さんのおかげで盛況な上映会となった。会場は40人が限度の喫茶店ではあったが、2回の上映とも満員のお客さんが足を運んでくれた。上映前に地元紙の八重山毎日新聞が投稿記事を掲載してくれたのが有難かった。新城さんはその記事を見てから、上映が本当にあるらしいと分かったようだった。「新聞紙上をにぎわしているな。映画をやるそうだねと何人かから言われた」と言ってわが家に駆け込んできた。ひと月前に手紙を送っていたのだが本当に上映するのかどうか、どうも半信半疑だったようだった。全く気にしていなかったが、上映会は大安吉日にあたった。信仰心の厚い島の人たちなので、結果的にこの日を選んで良かった。

当日はまずまずの天気で会場のカフェ・タニファには一時間前の夕方5時ごろに入った。店主の栗さんがすでにテーブルや椅子を片づけていてくれて、丸いすを並べて準備は整った。そうこうするうちに新城さんが到着し、続いて娘さんのやす子さんが花束を持って入ってこられ、新城さんといっしょに僕はとその花束を頂いた。

6時直前まで人はいなかったが始まる時間までには席が埋まった。ナレーションの崎山さん、唄・三線の石垣さんの顔もみえた。この二人のおかげで映画の質がどーんとあがった。通りのいい声は、ボリュームをあげなくとも耳にはいった。音楽はゆったりとした八重山の古典民謡を、若い石垣さんが情緒豊かに歌ってくれた。2人とも映画の仕事は初めてなので、「私でいいのかしら」と不安を持っていたようだったが、上映後は心から喜んでくれた。終わったあとの新城さんの話がおもしろかった。3年前だった。初めて造船場にお邪魔したときに恐る恐る、やす子さんに撮影しても大丈夫かどうか聞いた。「大丈夫じゃない」と言われ本人に合うと、以外にも取材に気易く応じてくれたのを思い出す。職人は仕事場に人が入ることを極端に嫌う。自分でもそうなのだから、なるべく邪魔にならないように気を使った。何回かお邪魔するうちに友だちになり、電灯を持って山にヤシガニを捕りに行ったり、夜の海に潜り魚をとりに出かけるようになった。「この人はカメラマンなのに、こんなことして変わった人だなあ」と思っていたという。当時も今になるまで、僕の作品を新城さんには見せていなかったので、僕はそこいらにいる遊び人くらいに思われていたのが、ようやく上映会で分かった。最後、新城さんが涙を流して喜んでくれたのが嬉しかった。「とこさん、あんたこれならプロになれるぞ!」という有難い言葉も頂いた。「とうちゃんはすごいね」と言ったやす子さんの言葉が忘れられない。

撮り残したシーンを昨日撮ってきた。新城さんは全長8メートルを超える舟を完成させていた。2000年、20数年ぶりに再開した仕事は今年も途絶えないようで、「80歳近くになって舟の仕事がまたできるなんて、人生分からんものだなあ」 親子の歳の差がある新城さんに僕は負けられないし、まだまだお元気なので、あと20年や30年は現役の船大工でいてもらいたいと思っている。

上映会には姿を現さなかったが撮影に協力していただいた元漁師のよへ名さん、農学の先生の石川さん、鍛冶屋の池村さん、金物屋の玉那覇さん、写真家の添畑さんには特にお礼を申し上げたい。「にいふぁいゆ、ありがとうございました」 

この映画は来年から徐々に北上していく予定。ちなみにDVDは発売未定。上映会を優先させたいと思っている。

|

« 幻のスモークサーモンと大和ハウス | トップページ | 帰宅 »

コメント

上映会成功おめでとうございます。このまま更に勢いをつけて映画祭入選といきたいところですね。

投稿: HS | 2006年12月13日 (水) 20時00分

この記事へのコメントは終了しました。

« 幻のスモークサーモンと大和ハウス | トップページ | 帰宅 »