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2007年7月16日 (月)

ミートホープ騒動

いやはや、ミートホープの田中稔社長にはお礼の言葉もない。彼の大放言のおかげで、この数週間は仕事の依頼が殺到して、釣りに行く暇もなかった。

始まりは、朝日新聞に内部告発情報が寄せられその記事が載った6月20日。「一面に大きく載っているので、ミートホープ社の社屋を撮影して欲しい」と仕事の依頼があった。現場に到着すると、すでに新聞社、テレビ局が殺到しており、蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。

当事者の社長は、「あんなことは皆やってることで俺だけが悪いことじゃあない」と、カメラマンたちを押しのけて、ガムをかみながら事務所に入っていった。

その様子を撮影しながら、僕は心の中で叫んだ。「これだ!このキャラだ!」「この人物は最高の悪役になるぞ」と予感というよりも、そう確信した。

後は皆さんのご存知のとおり、観光客が訪れるまでに全国に知れ渡るミートホープ社となったわけだ。

この取材にはさまざまな裏話があったが、なかでも特におもしろかったことがあるのでここで、ご披露したい。

解雇された社員たちが労働組合を組織した。その社員がミート社の説明会に出席するので、車を降りて会社に向かおうとする途中で、彼らのインタビューを取ろうと一人一人に記者やカメラマンが殺到する。

「会社には何を要求しますか?」とか「社長に言いたいことは?」とかを連発する。この異常な状態に社員たちは恐れおののき、怒り、顔を隠して「撮らないでください。止めてください」と取材を拒否した。

彼らは社会的には加害者であるが、一方ではミートホープ社に突然解雇され、職を失った被害者でもある。板ばさみ状態のなかで彼らは混乱していた。

そんな彼らのインタビューを撮ろうと一部の新聞やテレビは自宅に夜、押しかけては玄関のインターホンのボタンを押す。それも、何回も押す。

質問攻めに逢った社員が「いい加減にしてください。自宅にまで押しかけてしつこくインターホンのボタンを押すのは止めて下さい」と記者たちの行き過ぎた取材方法に抗議した。

その時、NHKの記者は「NHKはそんなことはしませんよ」と強調した。で、女性の社員かアルバイトのひとりが「じゃあ言いますが、NHKです」と一言。その場に居たメディアの連中は笑いをこらえるのに必死だった。

とにかく取材合戦に3週間も缶詰になったわけだ。ミート社は破産するのは時間の問題で、今はミート社の関係者らが逮捕されるまではしばらく釣りができそうだ。大方の予想では、逮捕は一ヶ月以上先になりそうだという。

あの、黒い牛は今日も苫小牧の町を見下ろすように立ったままだ。

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