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2007年8月24日 (金)

映画祭とジャズコンサート

ドイツから帰ってきて3日、ようやく時差ぼけから立ち直りつつ日記を書いている。

グロービアンズ映画祭はドキュメンタリーを集めた映画祭で、今回で3回目、歴史は浅いが世界中から集まった70本を9日間にわたって上映した。したがって一日6本くらいやったわけで、14日は到着後、時差ぼけ(英語ではジェットラグという)のまま夕方に会場入りして、3本の映画を見た。案の定、途中で意識を失ってしまいその状態が3日くらい続いた。

どの作品も力作ぞろいで圧倒された。なかでもエイズを取り上げたドキュメンタリーは特に印象に残った。エイズはヨーロッパの製薬会社が作ったポリオワクチンを投与したアフリカのある地方に集中しており、ポリオワクチンで使ったチンパンジーの腎臓にエイズウイルスが混ざっていた可能性が強いらしい。製薬会社はチンパンジーの腎臓を使用したことを否定するが、当時の関係者の証言で明らかにチンパンジーを使っていたことが判明した。カナダのテレビチームが制作したもので、企業倫理、政治倫理が問われた作品だった。ドキュメンタリーが持つ社会性を発揮した優れた作品だった。世の中の不正を暴く作品に強く引かれた。ドキュメンタリーはこうでなくてはならない見本のような作品を作ったチームワークを賞賛したい。僕のような単独取材での限界をみせつけられたのが悔しい。いずれはこんな作品作りを目指したいものだ。

唯一つ僕にとって残念な作品を一つ見た。アフガニスタンのマスード将軍の暗殺についてのドキュメンタリーであった。このマスード将軍とはご存知の方もいるだろうがアフガニスタンがソ連の侵略を受けたころからの英雄的存在で9.11のニューヨーク貿易センタービル爆破事件の直前に暗殺された北部同盟という武装集団のボスである。映画では民主主義を目指した指導者として描かれていた。写真家の長倉洋海さんが彼をヒーローにした写真集を出版している。彼が率いてきた北部同盟はアフガニスタン国内では非常に評判の悪い集団で、レイプ、強奪を繰り返してきた集団だと聞いていた。長年、アフガンで医師としてボランティア活動を行っている中村哲さんによれば、北部同盟がくるくらいならタリバンのほうがよっぽどましだというくらいの集団らしい。現政権に近い集団でアメリカよりだった。今のアフガンでアメリカ軍の援助を受けているとすればイスラム社会の敵である。いかに民主主義をとなえてもレイプ集団ではどうしようもない。こういってはナンだが、彼の暗殺を悲しむ人はアフガンにどれくらいいただろうか、と言う疑問が残る。僕は実際に現地で聞いたわけでもないので、この件に関する確たる情報をお持ちの方の反応を待ちたい。一緒に映画を見たアメリカ人女性はマスードをかっこいい兵士だと思ったというので、この映画はアフガンの現実とは違ったかなり偏ったプロパガンダ映画のようだと話した。いかにドキュメンタリーの虚像と実像を見分ける知識が必要であるかを痛感したわけだ。

まだまだ語りつくせないが、アメリカの大學で写真学科の教授から僕の「波の記憶」に関して指摘を受けたことは非常に大きな収穫だった。僕は素直に、「編集作業が嫌いでね」というと「分かるよ」といい編集の甘さを批評した。「波の記憶」をもう一度見直してみよう。「そうすれば、あんたの作品はグランプリを取れる内容だよ」とお世辞でも嬉しい感想をもらった。これだけでも自腹をきって参加した甲斐があったというもんだ。

本当に有意義な旅立だったので書きつくせない。次回に続きを書きたい。今日、書く予定だったスカンジナビアジャズコネクションのジャズライブの話は明日でも書こうと思う。

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コメント

お帰りなさい。
有意義な旅で何よりでした。
ドイツレポートの続きを楽しみにしています。

投稿: HS | 2007年8月25日 (土) 19時56分

当然失礼致します。中村哲・長倉洋海両氏の対談が無かったかどうか検索中に貴ブログがヒット致しましたので、一つだけ申し上げます。(他の方の所に書いたもののコピペにて失礼致します。)

結論から申しますと、両氏の言い分のどちらが正しいかというのは、明治維新において薩長軍と幕府軍のどちらに正義があったかと言うようなものです。
中村氏の発言に対しても、事実誤認が多く含まれるとの指摘(http://mltr.free100.tv/faq06.html 参照)がありますので、せめて半々くらいと割り切って判断されるべきかと。現地に行ってみて、アフガン政府当局とタリバンのどちらから危害を加えられるか試してみる訳にもいかないと存じますので。

投稿: 瀆名鬼 某 | 2007年10月17日 (水) 00時58分

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