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2009年6月 4日 (木)

ゆふいん文化・記録映画祭

5月29日から31日、大分県の由布市で開催された第12回「ゆふいん文化・記録映画祭」に招待され出かけてきた。

昨年から設けられたや故松川八洲雄監督の名を冠した第2回松川賞入賞作品5作品「波の記憶」、「団旗の下に」、「面打」、「住民票を返せ!」、「盆のはなし」が30日に上映された。

「波の記憶-舟大工、新城康弘の物語」は残念ながら大賞を逃した。編集の前提である構成に問題があったと選考委員の一人に指摘された。またナレーションが多くを語りすぎたという批評もいただいた。これは僕自身も感じていたことなので、あらためて今後の参考としたい。

選考委員の吉岡忍(ノンフィクション作家)、森達也(ドキュメンタリー作家)、森まゆみ(作家)、池内了(宇宙物理学者)、まつかわゆま(シネマアナリスト)、日向寺太郎(映画監督)、内海穂高(映画プロデューサー)、野村正昭(映画評論家)、清水浩之(映画祭コーディネーター)ほかという方々に僕の作品を観ていただいき、直接お話を伺えたことが今回最大の収穫だった。

5作品の中から大賞が選ばれるということだったが、今年は大賞なしで「団旗の下に」が準大賞に選ばれた。

この作品は東京の明治大学付属中学校の応援団を追った自主制作作品で、応援団のもつ時代錯誤的な日本文化の一面を見事に映像化したものだった。これが大賞に選ばれなかった理由としては、全体として応援団に対して好意的なつくりであったが、最後の大学応援団員の暴力事件の記事が唐突で作品全体の持つ構成や作り手の意思が不明瞭だったと感じた。監督自身の応援団に対する思いをインタビューなどでもっと自己表現してもらいたいという思いがあった。この作品の監督は大学を卒業したばかりの青年だった。小型カメラで撮影された作品で現在の日本のドキュメンタリーのひとつの方向性が示されていたのではないかと思っている。

もうひとつ金 稔万(キム インマン)監督の「住民票を返せ!」は臨場感あふれる作品だった。大阪の釜ヶ埼が舞台の住民登録を抹消された住民闘争の記録で、人々のパワーがみなぎっていた。大阪市職員の無表情と住民の人間味あふれる姿をカメラが捕らえていた。これも自主制作作品。

上映会のあとの毎晩の懇親会が楽しかった。参加者どうしの交流の場を設けた映画祭の企画運営がよかった。地元の皆さんがこういった制作者と選考委員との対話できる場面を設定くれるのがこの映画祭の特徴で、毎年でも参加したい気持ちにさせてくれた。

「面打」は能面の製作過程をナレーションなしで木を削る音だけが効果音という作品。「波の記憶」の舟つくりも木を削る場面があったので、もっと丁寧に舟つくりを見せるべきだったと感じさせた秀作だった。

「にっぽんの記憶 第二話 盆のはなし」は柳田國男の随筆を下に岩手県の漁村でおこなわれるお盆を静かに描いた作品で、日本の先祖供養といういまでは失われつつある風景が詩的に表現されていた。平田順子監督(テレコムスタッフ)作品。プロダクション制作の作品で、プロ集団が作る作品に勝る作品に仕上げる為には自主制作作品に何が必要かを考えさせてくれた作品でもあった。

ドキュメンタリー作家が試されるのは作り手独自の視点であり、社会批判、臨場感であり、カメラワークであり、最後は人間力なのかな。また「審査員が試される作品選考だった」と審査員の皆さんが語った言葉が印象深く残っている

この映画祭のテーマは「ゆうゆうたる持続」である。ほんとうの豊かさ、文化を感じさせる映画祭であった。

上映作品は全部で14本。水俣病問題を撮り続けた土本典昭監督のわが街わが青春-石川さゆり水俣熱唱-」と「ドキュメント路上」、松川八洲雄監督の「飛鳥を造る」と「諸橋轍次と大漢和辞典」、坂田雅子監督のベトナム戦争枯葉剤をテーマにした「花はどこへいった」、羽田澄子監督の「嗚呼 満蒙開拓団」や日本文化の型染めと木工芸の記録映画が上映された。

とここまで書いてふと日本のドキュメンタリーについて考え、ある疑問が浮かんできた。続きは後日に。

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投稿: sirube | 2009年6月 4日 (木) 01時15分

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